この事故は、当時、田村大付属高校三年の男子・高岩駿君が、大破したスクーター脇で硬直した遺体となって発見されたものであり、
杜撰な調査と遺体の不可解な状況から、事故として処理された後も何らかの事件に巻き込まれたものとして、当初より、報道各社が
取り上げていた事故であった。
検察審査会の結論を受けて、田村地方検事局の山村泰宏検事と緒方如月検事補が、市警察を指揮して再調査にあたる事となった。
田村市警察側の担当は、殺人捜査課の安藤孝祐警部補と高倉和臣巡査長の両刑事。まず、事件当初、交通事案として処理した際の
警官達に話を聞いていくが、
報告書の信頼性に疑問が出てくる。
当時、遺族が解剖を拒否し、正確な死因や問題点が発見できなかったと知った安藤と高倉は、再度、遺族に話を聞こうとするが、被害者の母親に追い返されてしまう。そんな折、遺族の代理人と称する人権NPO団体代表・吉村が登場、事件を掻き回す。
安藤と高倉は、被害者の補導歴に注目。補導した警官によると、被害者には悪い仲間が居たと言う。
事件に区切りを付けたいと被害者の父親が情報を提供。不良仲間を特定する。同じ頃、自動車窃盗で勾留中の渡邊が事件への関与を
仄めかし、新発見された指紋と一致した為、安藤と高倉は彼を逮捕する。
事件は検事局に引き継がれ、渡邊の事情聴取が始まる。渡邊は、当時、ブレーキの壊れたバイクを盗み、翌日修理するつもりでいたと
言い、そのバイクを誰かに盗まれたと言う。また、被害者を最後に目撃した銭高と北野は、疑惑の友人グループとして、報道各社から
注目を受けている人物であった。渡邊がこの銭高グループの一員であった事から、捜査陣は、被害者と銭高との接点を見つけようとする。
ところが、渡邊は保釈後、一転して、口を閉ざす。山村の説得の結果、銭高からの脅迫があった事が判明。
銭高は、高岩君殺害容疑・渡邊への脅迫容疑で起訴される。報告書偽造の警官と銭高の父親も相次いで起訴。だが、直接的証拠が
無いために、検察側は裁判で大苦戦。検察が決め手の証拠とした、銭高の嫌疑を深める匿名テープも、裁判長から証拠採用を退けられてしまうのだった……。
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